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2018/01/20.Sat

平成27年-夏-(23)

 8月上旬の次の面会でも、俺と母親が特養に着いた時、父親は共同スペースで眠そうにリクライニング車椅子に座っていた。

 共同スペースのテレビは、夏の甲子園大会を映していた。

 3人で父親の部屋に行き、俺が父親の靴下を脱がせて足先を見たら、荒れている範囲は狭くなったようだ。

 介護スタッフさんが持ってきてくれた父親の分のトロミ付コーヒーを、母親が全介助で飲ませたら…

 父親はスムーズに全量を飲んでくれたが、その後の歯ぎしりが、ひどかった。

 俺が父親の頭の後ろに三角クッションを挟んで、父親の頭を拭いていたら…

 めずらしく父親が、若年性アルツハイマーの進行や関節の拘縮で動かしにくい手を、なんとか動かして耳の後ろを掻いた。

 父親は、リクライニング車椅子に座っていても横への傾きがあるので、傾く側の耳の後ろはどうしてもヘッドレストとの密着度が高くなるから、少しかゆいのだろう。

 そのあたりも俺がやさしく拭くと、父親は掻くのをやめた。

 それからの父親は、眠そうではなくなったが、手が震えるようになった。


 その次の面会時の父親は、ひどく眠そうだった。

 父親の部屋で、俺の弟から受け取っていた弟の子(俺の両親からすると孫)の写真数枚を父親に見せたり、いつものように音楽番組DVDをつけたりしたが、ほとんど反応がなかった。

 母親が、棚の上のフォトフレームの写真を、持ってきたものと交換した。

 この日は歯科衛生士さんによる口腔ケアがあったが、やはり父親はひどく眠そうで、ほとんど口を開けてくれず、歯科衛生士さんが苦労していた。

 それでも、以前は時々出ていた、父親の歯が原因と思われる頬のふくらみは、約週一回の口腔ケアをやってもらうようになってから、ほとんど見られなくなるなど、効果は出ているようだ。

 父親の手の爪の一部がけっこう尖っていたので、口腔ケアが終わった後に俺が、その部分を爪切りで切ったが…

 俺は老眼のせいで、こういう細かいことが厳しくなってきている。



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